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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2010年1月20日配信)

第65回 『尋常性ざ瘡治療ガイドライン ~化粧(メイクアップ)指 導について~』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。ちょっと遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。

 お正月、5年振りに映画を見に行ってきました。アラフォー世代にとってはとっても懐かしい、『宇宙戦艦ヤマト』の26年振りの新作、『宇宙戦艦ヤマト 復活編』です。
(詳しくは http://www.yamato-movie.com/ を参考に)

 『宇宙戦艦ヤマト』は1974年にテレビで初放送され、数々の続編が公開されてきた、スケールの大きなSFアニメです。放送当時、私は小学4年生——。
 同時刻に放送されていた大人気アニメ『アルプスの少女ハイジ』には、目もくれず、『ヤマト』を見ていたのはクラスで数名だけでした。

 『明日の幸せというものは自分の力でしか獲得できないもの』という番組中の名言は、今でも、強烈に記憶に残っています。

 今回の新作は、公開までに長~い紆余曲折があり、『公開決定!』との報道を耳にしても、信じられない程でした。内容的には、続編ものの常として、賛否両論があるようです。
 でも、往年の名スタッフを揃え、最新技術が投入された『新ヤマト』は、新たな感動を43歳の私に与えてくれました。

 大人になり、心から映画を楽しめる立場になれたことを感謝すると共に、大げさでなく、本当に生きていて良かったと思いました。

 そうそう。いろいろな問題の解決には、時間がかかることも多いですね。ニキビでお悩みの方の場合も同じです。長い間、改善しなかったニキビが、あることをきっかけに急に改善することも多いもの。
 このコラムがそんなきっかけの一つになれば最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、毎月お届けさせていただいています。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を19年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 皮膚科医がニキビの治療、特に保険診療を行っていく上での指針となる「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」が、2008年秋に日本皮膚科学会誌上で発表されました。 (詳しくは http://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/pdf/118101893j.pdf

 前回は、ガイドラインにおける漢方薬治療、とくに『十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)』について、お話しさせていただきました。
 今回は、『ニキビにおける化粧(メイクアップ)指導』について、お話しさせていただきます。

 推奨度は、以下のように分類されます。(簡略化しています。)

推奨度の分類

A行うよう強く推奨する
B行うよう推奨する
C1良質な根拠は少ないが,選択肢の一つとして推奨する
C2十分な根拠がないので(現時点では)推奨できない
D行わないよう推奨する

 ガイドラインでは、『ニキビにおける化粧(メイクアップ)指導』はC1の評価です。

ガイドラインでは、
『ニキビ患者さんに、生活の質(qualityoflife)の改善を目的とした化粧(メイクアップ)指導を行うことを選択肢の一つとして推奨する。但し、刺激性の少ないノンコメドジェニックな化粧品を選択するなどの配慮が必要である』
とされています。

 解説をまとめてみましょう。

1)油性の面皰をつくる化粧品(例:油性のクリーム)では、ニキビが悪化します。面皰をつくる化粧品(コメドジェニック)な作用のある化粧品は避けるべきです。

2)ニキビ患者さんを対象とした、化粧(メイクアップ)の影響を見る大規模な調査はありません。全ての化粧を禁止する明確な証拠はありません。

3)小規模な調査では、化粧がニキビ治療を妨げることなく、化粧により生活の質が改善されたというデータがあります。面皰をつくらない(ノンコメドジェニック)な化粧品を用いたメイクアップについては、特に、制限する必要はありません。

4)ニキビ患者さんの症状によって、判断は必要ですが、低刺激でノンコメドジェニックな化粧品を選んでメイクアップすることに問題ありません。

 ここで問題になるのが、『ノンコメドジェニック化粧品』とは何か?ということです。
 簡単にいうと、『ニキビ、特に面皰(コメド)ができにくい処方(成分)であることが明記されている化粧品』のことです。

 皮脂腺の多い背中を利用し、その化粧品を使用してニキビができるかどうかテスト。『使用することでニキビができる可能性が低い』という結果が出た化粧品のみに、『ノンコメドジェニックテスト済み』と明記されます。

 しかし、この基準にはあいまいな部分もあります。『ノンコメドジェニック化粧品』と明記されていても、実際に自分で試してみる必要がありますね。
 次回は、ニキビの化粧法について、もう少し触れてみたいと思います。

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その49」

『尋常性ざ瘡治療ガイドライン~化粧(メイクアップ)指導について~』

 
  • •皮膚科医がニキビの治療、特に保険診療を行っていく上での指針となる「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」が、2008年秋に日本皮膚科学会誌上で発表されました。
  •  
  • •治療方法により以下の推奨度が示されています。

     A 行うよう強く推奨する
     B 行うよう推奨する
     C1 良質な根拠は少ないが,選択肢の一つとして推奨する
     C2 十分な根拠がないので(現時点では)推奨できない
     D 行わないよう推奨する
     
  • •ガイドラインでは、化粧(メイクアップ)指導についてはC1の評価です。
  •   
  • •油性の面皰をつくる化粧品(例:油性のクリーム)では、ニキビが悪化します。
  •  
  • •面皰をつくる化粧品(コメドジェニック)な作用のある化粧品は避けましょう。
  •  
  • •ニキビの症状にもよりますが、低刺激で『ノンコメドジェニックな化粧品』を選び、メイクアップすることに問題はありません。
  •  
  • •『ノンコメドジェニック化粧品』とは、『ニキビ、特に面皰(コメド)ができにくい処方(成分)であることが明記されている化粧品』のことです。
  •  
  • •この基準にはあいまいな部分もあり、『ノンコメドジェニック化粧品』と明記されていても、実際に自分で試してみる必要があります。
 

 今年は、前々回のメルマガでも予想した通り、当地ばかりか世界的に厳しい冬となりました。(東京は暖冬のようですが。)
 お肌の乾燥対策には特に気を配りたいものですね。当研究所では、新年早々、美白クリームをリニューアルしました。冬の乾燥と美白対策には最適です。
 よろしくお願いいたします。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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