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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2007年4月13日配信)

第32回 『ビタミンE誘導体について』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 3月末に、出身大学の皮膚科教授の退官記念パーティーに出席しました。先代の教授は病気により、任期途中で退官されたため、私自身がこうした会に出席するのは初めてでした。

 会は大変盛会で、色素細胞研究で時代をリードした先生らしく、多くの関係者が出席されていました。
(興味のある方は http://web.sapmed.ac.jp/derm/ へどうぞ)

 10年振りにお会いした先輩との思い出話にも花が咲きました。

 お蔭さまで、今年でとかち皮膚科は開業10周年、とかち美白研究所は開所5周年を迎えました。皆様本当にありがとうございます。
 昨年のメルマガでも書きましたが、ある占星術によると、今年は本格的に「20世紀的なもの」が終わりを告げる年になるということです。
 大きな節目の年である今年、今回の会は、過去を振り返り、次の時代のことを考えさせてくれる良い機会になったと思います。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条[改訂版](4決め!)』というものを載せています。(改訂にいたる経緯は 第23回のコラムを参考にして下さい。)
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

『ニキビ治療の4ヶ条[改訂版](4決め!)』

今日から私は以下の4つを良く守り、ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

これは私が皮膚科診療を15年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、昨年まで『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 本題に入る前に、ジャン・フランソワ・ミレー(1814ー1875)の名画『落ち穂拾い』(1857年)オルセー美術館所蔵をご覧下さい。(http://www1.megaegg.ne.jp/~summy/gallery/glaneuses.html

 『4決め!』にはありませんが、ニキビの治療法として重要なものがあったとしたら、それを見過ごすことはできません。

 今回は、4月20日に新発売する、当研究所の次世代型ビタミンCローション『VC-EPLUSVITALLOTION』にも配合されている成分、『水溶性リン酸型ビタミンE誘導体 TPNa』(以下ビタミンE誘導体)について説明させていただきます。

 ビタミンEは、水に溶けにくく油(脂)に溶けやすい脂溶性ビタミンの一種です。(脂溶性ビタミンには、その他、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンKがあります。)

 トコフェロールとも呼ばれ、医薬品、食品、飼料などの他、病気の治療、栄養補給、酸化防止剤として広く利用されています。

 ビタミンEはビタミンC等の水溶性の抗酸化化合物と共に働いて、紫外線等で引き起こされる、酸化的ストレスから皮膚を守る働きを持っています。

 しかし、ビタミンEは化学的に不安定で、極めて酸化されやすく、油状のため、化粧品に配合しにくいという問題がありました。

 ビタミンE誘導体はそれらの問題を解決した画期的な化合物で、皮膚内にある脱リン酸化酵素により効率良くビタミンEに変換されます。

 『水溶性リン酸型ビタミンE誘導体 TPNa』には、以下の優れた特長があります。

1)化学的に極めて安定で、十分な水溶性を有し、化粧品へも高濃度に配合することができます。

2)抗酸化作用を有し、紫外線防御効果があります。

 ニキビの原因菌である、アクネ菌が分泌する「コプロポルフィリン」は、紫外線によって大量の活性酸素を発生させます。

 この活性酸素によって“酸化”した皮脂が「過酸化脂質」となり、周りを刺激して、炎症のあるニキビを長引かせます。

 一方、紫外線が皮膚に当たるとビタミンEは消費され、「過酸化脂質」も増えます。

 しかし、ビタミンE誘導体を塗布しておくと、紫外線照射の有無に関わらずビタミンEのレベルは高く保たれ、「過酸化脂質」の量もほとんど増えません。

 このことは、以下で説明する抗炎症作用と合わせ、炎症のあるニキビ(赤ニキビ)が改善することを示唆します。

3)強い抗炎症作用を有します。

 ビタミンE誘導体により、炎症物質プロスタグランジンE2の亢進が抑制されます。また、前項で解説した通り、紫外線にあたっても「過酸化脂質」の量が増えないため、赤ニキビの改善が期待できます。

 赤ら顔が目立たなくなり、喜ばれることもあります。

4)美白作用も有し、マイナスでイオン導入をすることもできます。

5)優れた保湿効果があります。

 難点は、他の化粧品材料に比べてやはり高価なこと。正直な所、製品を低価格で提供するのは難しいです。

 率直にいって、ビタミンE誘導体の強みはなんでしょうか?

 個人的な感想ですが、それは赤ニキビの改善効果としっとりとした保湿感にあると思います。

 製品化にあたって、ビタミンE誘導体を含んだ製品と、含まない製品を比べてみましたが、炎症の強いニキビに対して、前者に特に改善を認めました。

 また、使用感もしっとりとした感じが本当に心地よく、ビタミンE誘導体の効果は大きいと思いました。

 ニキビ治療においてはビタミンC誘導体が主役であるとすれば、『ビタミンE誘導体』は主役をサポートする相性の良い相棒と言える存在だと思います。

 身近な例でいうと、『ルパン三世』と相性抜群の『次元大介』に例えられるような存在でしょうか?

(以前、フラーレンを、活性酸素を斬鉄剣(ざんてつけん)でまっ二つに斬りつけるイメージで『ルパン三世』の石川五ェ門に例えましたが。)

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その16」

【『ビタミンE誘導体』について】

 
  • •ビタミンEはビタミンC等の水溶性の抗酸化化合物と共に働いて、紫外線等で引き起こされる、酸化的ストレスから皮膚を守る働きを持っています。
  • •ビタミンEは化学的に不安定で、極めて酸化されやすく、油状のため、化粧品に配合しにくいという問題がありました。
  • •『ビタミンE誘導体』はそれらの問題を解決した画期的な化合物で、皮膚内にある酵素により効率良くビタミンEに変換されます。
  • •『ビタミンE誘導体』には、以下の優れた特長があります。
  • •1)化学的に極めて安定で、十分な水溶性を有し、化粧品へも高濃度に配合することができます。
  • •2)抗酸化作用を有し、紫外線防御効果があります。
  • •3)強い抗炎症作用を有し、赤ニキビの改善が期待できます。赤ら顔が目立たなくなることも。
  • •4)美白作用も有し、マイナスでイオン導入をすることもできます。
  • •5)しっとりとした使用感が得られます。
  • •難点は、他の化粧品材料に比べて高価なこと。
  • •ニキビ治療において、ビタミンC誘導体が主役であるとすれば、『ビタミンE誘導体』は主役をサポートする相性抜群の相棒です。

 次世代型ビタミンC誘導体APPS、水溶性ビタミンE誘導体含有のローションの新製品を、4月20日にいよいよ新発売いたします。

 自信のある新製品ですので、是非一度お試しになって下さい。

 次回はいろいろ意見の別れるところもありますが、『ニキビと食べ物』について、お話させていただきます。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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