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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2015年9月20日配信)

第133回 『「トランス脂肪酸」を減らして「ニキビ改善」 〜(3)「油の新常識」を意識して健康に〜』

#お時間のない読者の方は[今回のポイント]だけでもお読み下さい#

こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

診療が終わって、ボーッとしてテレビを見ていた時のことです。

漢字の『命』のポーズで有名なタレント・ゴルゴ松本さんが、
『命の授業』と題して講演をしている様子が放送されていました。

私が見たのは、少年院での慰問活動の一場面。

力のこもった語り口で、
自らの人生観に基づいた漢字の意味を自己流に解き明かして行きます。
その様子はまさに圧巻。
少年達はメモをとって聞き入り、
今後の人生に少しでも生かそうと真剣でした。

『苦難、困難、災難、人生には必ず起きる。
 難がないことを無難と言いますが、これを逆に有を当てはめると有難う。
 有難うという字はすごいと思ったのがきっかけ』
と、ゴルゴ松本さん。

今回、特に私が感動したのが、漢字『迷う』についてです。
 (ゴルゴ松本さんの著書 
     『あっ!命の授業』より引用・改変させていただきます。)

『迷う』=しんにょうは『道』を表し、『米』は四方八方を表します。

道が四方八方に延びていて、どの道を選んだらいいかわからない。 それが『迷う』です。

迷って迷って失敗しても、それを乗り越えていくと、
迷った数だけ、たくさんの『量』のお『米』が積み重なります。
それが人生の『糧』になるんです。
迷いが人生の『糧』となって、道が拓けるんです。
あとで考えたら、あの時はすごく迷ったけど、
『米粒みたいに、ちっちゃなことだったね』
と必ずなるんです。心配ないんです。

いい話ですね。

そうそう。
ニキビが改善しなくてどうしたら良いかわからず
『迷う』ことがあります。

『迷い』をなくすためには、
1つだけではなく、たくさんの『量』の
『米粒みたいに、ちっちゃいけれどニキビ改善に重要な情報』
が必要となってきます。

それがニキビ改善の『糧』となって、
『ニキビ改善の道』が拓けるのです。

『ニキビ改善』は一筋縄ではいかないことも多いです。
このメルマガが、月に1度必ず届く、

『 25年の皮膚科外来診療で得られた「経験」をもとに
  規則正しい生活、精神の安定、お肌の保湿などの
  「米」粒みたいに、ちっちゃいけれど
  ニキビ改善に重要な情報を数多く提供。
  それらが「糧」となって「ニキビ改善」への道が拓ける
  定期便 』

になれば幸いです。

ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、
根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。

このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、
自分自身が一歩でも前に進むつもりで、
毎月お届けさせていただいています。

とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を
毎月発行しております。

そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せて
います。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

これは私が皮膚科診療を25年やってきた中で非常に重要と思い標語に したものです。

ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。

このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて
解説してきました。

第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を
『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連した
こと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )
にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

(バックナンバーは   https://www.tokachi-media.com/content/column をご覧下さい。)

第112回からは、『ストレス』の対処法に最適な本
『「凹(ヘコ)まない」技術』( 西多昌規 著)
をもとに、『ニキビ』と『ストレス』についてとりあげています。
『ニキビ』と『ストレス』の対処法は、しばらくお休み。

前回は、最近の雑誌の特集
『健康に「いい油」「悪い油」正しい摂り方教えます』
      (週刊文春 2015年7月16日号) から、
『健康に悪いと思われる油』について考えました。

油研究の第一人者である奥山治美名古屋市立大学名誉教授による
  『健康に悪いと思われる植物油脂ランキング』

1位:水素添加したカノーラ油や大豆油(マーガリンなど)

2位:カノーラ油(菜種油)

3位:パーム油

を示し、
とくに『パーム油』については『トランス脂肪酸』がゼロであっても
注意が必要であることをお話しさせていただきました。

今回は、前回の続き。
『健康に良いと思われる油』についてお話しさせていただきます。

奥山名誉教授による『健康に良いと思われる植物油脂ランキング』
を以下に示します。

『健康に良いと思われる植物油脂ランキング』

1位:エゴマ油(シソ油)

2位:アマニ油(フラックス油)

3位:なし

3位がないというのが驚きです。

スーパーに行くと、
本当にたくさんの種類の『植物油』が販売されているというのに、
これはどういうことなのでしょうか?

同名誉教授による『健康に良いと思われる動物油脂ランキング』
を以下に示します。

『健康に良いと思われる動物油脂ランキング』

1位:魚油

2位:バター

3位:ラード(豚脂)

4位:牛脂

『植物油脂』は2位までなのに、
『動物油脂』は4位までランキングされています。
これはどういうことなのでしょうか?

『植物油で推奨できるのは、値段は高いですが、
 エゴマ油とアマニ油だけです。
 この2つは体内でDHAやEPAという青魚に多く含まれる
 健康成分に変換されます。
 一般的な植物油だったら、
 バターやラードなどの動物性脂肪のほうが安全です』
と、奥山名誉教授。

『つい最近まで「植物油が体に良くて動物油は悪い」
 と考えられてきましたが、それは間違いです。
 日本では高度成長期の1960年代、
 牛肉や豚肉など動物性脂肪の摂取量が増えるにつれて、
 脳出血や脳梗塞の発症が減少していきました。
 これは血管の栄養状態が良くなったからで、
 動物性脂肪は血管を丈夫にする効果があります。
 年配の方ほど動物性脂肪を摂ったほうがいい』
と、同名誉教授はさらに続けています。

私は『植物油(脂)』について、
いろいろな議論がされているのは一応知っていましたが、
『動物性脂肪(油脂)』については認識不足でした。

また、高血圧で脳卒中を起こしやすいラットによる比較実験についても
掲載されており、その結果に私は衝撃を受けました。

『カノーラ油(菜種油)』、『パーム油』、『ラード』の3つを
上記のラットに食べさせて比較した所、
平均すると『カノーラ油』が最も短命で、その次は『パーム油』、
最も長寿だったのは『ラード』を食べさせたラットの順番でした。

大櫛医学情報研究所長の大櫛陽一東海大学名誉教授も、
最新の研究で『食用油の常識が変わりつつある』
と以下のように警告されています。

『カノーラ油もパーム油も元々が食用じゃないものを転化しています。
 まだはっきりとした原因はわかっていませんが、
 精製過程で不純物が残っていたり、
 精製するときに化学的な物質を使うため、
 それが一部残っている可能性もある。
 過剰に摂ればアレルギーや炎症を起こしやすいということで、
 世界中で問題になっています。』

外来で診療していると、いろいろ気づくことがあります。

『この男性ニキビ患者さんは、脂ぎっている感じが異常に強い。
 油ギッシュというよりは、大量の古い油が腐っている感じだ。
 アトピー性皮膚炎もあって炎症が強い。どうしてだろう?
 治療に反応しないのは、食事かな?』
などと私は考えます。

患者さんにちょっと問診してみるとこんな答えが—-

『食事は面倒くさいので全て外食です。
 朝は食べたり食べなかったり。コンビニでパンを買います。
 昼は営業職なので、カレーや丼もの。
 夜はスーパーで売っている弁当が多いです。揚げ物好きです。
 野菜や果物?別に買うのは高いし、嫌いですね。』

上記の男性ニキビ患者さんは、『トランス脂肪酸』を含む
『健康に悪いと思われる植物油脂』の影響を大きく受けていた
と思われます。

さすがに私も見過ごすことはできず、激論の末(笑)
少なくとも朝は自分でご飯を炊いて食べるように指導した所
ニキビは少しづつ改善してきています。
また、炎症の強いアトピー性皮膚炎も悪いつきものがおちたように改善
してきてびっくりしました。

食事を通して体内に過剰に摂取された
『トランス脂肪酸』(『カノーラ油』を含む)、
そして『パーム油』は『トランス脂肪酸』はゼロといわれるものの
『ニキビ』に悪影響を及ぼしている可能性があります。

そのメカニズムは、以下のように想定されます。

1)食事を通して体内に過剰に摂取された
  『トランス脂肪酸』(『カノーラ油』を含む)、
  『パーム油』は体内で酸化。
  活性酸素が大量に作り出される。

2)結果として人体の免疫力が下がり、
  肌のターンオーバーが障害され『ニキビ』ができやすくなる。
  また、アレルギーや炎症もおこしやすくなり、
  『アトピー性皮膚炎』なども悪化する。

3)体調が悪く、新陳代謝が正常に行なわれない状態では
  さらに『ニキビ』が悪化する。

『 トランス脂肪酸(カノーラ油を含む)、パーム油を含む食品を
   「避ける」あるいは「できるだけ減量」しましょう。
            更に、
   健康に良い エゴマ油、アマニ油などの「植物油脂」
            と
     血管を丈夫にする 「動物性脂肪」
     をバランス良く摂取しましょう。
   「油の新常識」を意識した食生活を送ることが、
    ニキビ改善につながり、健康につながります。     』
 こう私は考えます。

[今回のポイント]は以下の通りです。

      

【今回の4決め!落ち穂拾い】

『「トランス脂肪酸」を減らして「ニキビ改善」
         〜(3)「油の新常識」を意識して健康に〜』

  • ■ 最近の雑誌の特集
     『健康に「いい油」「悪い油」正しい摂り方教えます』
          (週刊文春 2015年7月16日号)
     から、私が最近知って驚いた『 油 』について取り上げました。
  • ■ 前回、油研究の第一人者である奥山治美名誉教授による
      『健康に悪いと思われる植物油脂ランキング』
  •  1位:水素添加したカノーラ油や大豆油(マーガリンなど)
  •  2位:カノーラ油(菜種油)
  •  3位:パーム油
  •  を示し、『パーム油』については『トランス脂肪酸』がゼロ
     であっても注意が必要であることをお話ししました。
  • ■ 『植物油で推奨できるのは、値段は高いですが、
      エゴマ油とアマニ油だけです。
      この2つは体内でDHAやEliAという青魚に多く含まれる
      健康成分に変換されます。
      一般的な植物油だったら、
      バターやラードなどの動物性脂肪のほうが安全です』
      と、奥山名誉教授。
  • ■ 大櫛医学情報研究所長の大櫛陽一東海大学名誉教授も、
      最新の研究で『食用油の常識が変わりつつある』と警告。
  • ■『 トランス脂肪酸(カノーラ油を含む)、パーム油を含む食品を
       「避ける」あるいは「できるだけ減量」しましょう。
                更に、
       健康に良い エゴマ油、アマニ油などの「植物油脂」
                と
         血管を丈夫にする 「動物性脂肪」
         をバランス良く摂取しましょう。
       「油の新常識」を意識した食生活を送ることが、
        ニキビ改善につながり、健康につながります。     』

ゴルゴ松本さんというと、
私にとってはあくの強い、どちらかというと苦手な芸人さんでした。
しばらく見ないなと思っていたのは、
私があまりテレビを見ていなかっただけでした。

プロフィールを読むと、年齢も私とほぼ同じ。
こんな素晴らしい活動をしているとは驚きました。
著書の『あっ!命の授業』もつい購入してしまいました。

人はいろいろな可能性があるのですね。

次回は、『健康に良い油〜実践編〜』について取り上げます。

それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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